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院長のつぶやき

2026.07.09
捨てられなかったもの ベスト5…

自宅をリフォームすることになり、一時、仮住まいへ転居することになりました。 「これを機に、要らないものを整理しよう」
そう思って片付けを始めたのですが、捨てる物を選んでいるはずが、いつの間にか床に座り込み、昔の写真や手紙を眺めていました。
そんな「捨てられなかったもの」ベスト5です。

第5位 若い頃に使っていた古い聴診器
今ではもう使うことのない、古い聴診器。
傷もあり、決して高価なものではありません。
でも手に取ると、医師になったばかりの頃の自分を思い出しました。
あの頃は、聴診器を胸に当てるだけでも緊張していたような気がします。
今の私を見たら、あの頃の私は何と言うでしょうか。
「ずいぶん偉そうになったな」
多分、そう言うと思います。

第4位 祖母と少年時代の私が写った、色褪せた写真
私はおばあちゃん子でした。
母も働いていたため、小学校の参観日には、いつも祖母が来てくれました。
教室の後ろを見ると、そこにはいつも着物姿の祖母がいました。
当時は、祖母が来てくれることが当たり前だと思っていました。
写真の中の祖母を見ながら、今さらですが、「ありがとう」
と言いたくなりました。

第3位 結婚前、妻からもらった誕生日プレゼントに付いていたメッセージカード
何が書いてあったかは内緒です。
ただ、今では絶対に書いてくれないようなことが書いてありました。
妻に見せようかとも思いましたが……
やめておきました。
「そんなの私が書いたんじゃない」
と言われたら、立ち直れません。
思い出は、時にはそっとしておいた方が美しいものです。

第2位 子供たちの大学の合格通知
自分が大学に合格した時より、嬉しかったような気がします。
合格の文字を見た時の、あの何とも言えない気持ち。
きっと私の両親も、私の時に同じような気持ちだったのでしょう。
親になって初めて分かることがある。そんなことを、古い合格通知に教えられました。
ただ、大学の合格通知の隣から授業料の振込用紙が出てきた時にはため息が出ました。
人生、喜びと請求書は一緒にやって来ます。

第1位 子供が幼稚園の頃に描いてくれた、私の似顔絵
そこには、「おとうさん ありがとう」と書いてありました。
決して上手な絵ではありません。顔の形も変です。
でも、何度見ても笑顔になります。
今の子供たちは、もうこんな絵を描いてはくれません。
考えてみれば、これほど価値のある絵を、私は他に持っていないのかもしれません。

どれも、もう何年も目にしていませんでした。
中には、その存在さえ忘れていたものもあります。
それでも、捨てようとすると、なぜか心の隅に引っ掛かる。
結局、私はまた箱に戻し、そっと仕舞い込みました。

次に見るのは、何年後でしょうか。
もしかすると、もう見ることはないのかもしれません。
それでも、捨てられませんでした。
物を残したかったのではなく、そこにあった自分の時間を、捨てたくなかったのかもしれません。
そして気がつけば、片付けはほとんど進んでいませんでした。
思い出は軽い。
でも、引っ越しの荷物は重い。

子供が描いてくれたお父さんのイラストイメージ
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